ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その３

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

一

ⅲ

「まぁ、そうなの！」

　太一と偶然に出会ったという青年、

梅畑涼介（うめはたりょうすけ）の言葉を信じるならば、

彼は子供たちが通っている黄梅学園の大学生ということらしい。

誘拐という線は少し薄れたが、

まだ完全に白だと決まったわけではない。

律子は涼介が不審な行動をしないか目を光らせた。

（それにしても太一くんは彼をかなり慕っているようね……）

　太一は元々人懐っこいタイプではあるが、

初対面の相手にこれほど好意を見せるのは珍しい。

律子は内心でため息をつきながら涼介を見極めようと話を進めた。

「そうだわ。私の家、すぐ近くなの。

立ち話もなんだからうちへいらっしゃいよ。

翔もいるし、ね、太一くん」

　しかし、涼介からは色好い返事がもらえず、

太一までもが青年の意に従おうという素振りを見せた。

（逃げる気なのかしら。そういかないわ）

　律子は、中々動こうとしない涼介たちを強制的に自宅へ招くべく

自転車で詰め寄った。

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