ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その３８

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

三

ⅹⅲ

　こちらの言い分を認めるどころか反論してくる麻里へ、

内心でやっぱり頑固じゃない、と反論しつつ律子は空を見上げる。

「はいはい。そういうことにしておくわ。

あら？　鳥の動きがちょっと変わったわ」

「え？　あ、本当だ！　って律子さん！

律子さんだって目がいいじゃないですか」

「あんな大きければ見落とす人のほうが少ないでしょうが」

　すっとぼけたことを言う麻里に律子は呆れながらこぼすと、

彼女は子犬のような眼差しを向けてきた。

「そうですか？　私は見落とすときありますけど」

「えっ、そうなの？」

　あっけらかんと言い放つ麻里に律子は目を見張る。

（もしかしてこの子って俗に言う天然ちゃん？）

　だから時折会話がかみ合わないのだろうか。

律子はなんと返答するのが正解なのかわからず乾いた笑みを浮かべた。

「ま、まぁ、そういうときもあるかもしれないわね

アハ……ハハ……」

　後悔先に立たずというが、

律子は早くも息子の言葉にその気になってしまった自分を

悔いてしまいたくなった。

しかし麻里は肩を落としているこちらの態度に気づきもせず

声を高らかにあげる。

「はい！　じゃあ急ぎましょう」

　そう言うと麻里は鳥に追いつこうと自転車の速度を速めた。

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