ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その４０

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

三

ⅹⅴ

「若いっていいわねー。

まぁ、それも守るものができたら変わってしまうものなんだけどね。

って、見て鳥が旋回してるわよ。きっとあそこが目的地なのよ」

「あ、本当だ！　さあ、律子さん！　ゴールはすぐそこです！

さあ行きましょう！　ずずいぃっと！

じゃないと私、上司に怒られちゃうじゃないですか！」

「ふふふ。あなたっておかしな人ね」

　表情がころころ変わる麻里を見ていると昔の自分を思い出す。

彼女のほど豊かな表情をしていたわけではないが、

自分も昔はこんなふうだったのだろう。律子は自然と頬が緩んだ。

（まぁ、私にはあんな熱血漢はなかったけどね）

　くすり、と笑うと麻里が真面目な顔でこちらを見てくる。

「私は平凡な一社会人なだけです」

「とても平凡な社会人には見えないけど、

そういうことにしておくわ」

「それってどういう……？」

　律子が目尻にたまった涙を指先で拭っていると、

不思議そうな顔でこちらを見ていた麻里が急に後ろへ振り返った。

何かいたのだろうか。首を傾げながらも律子も視線を向ける。

が何も見えなかった。

「何かいたの？」

　未だに探している麻里へ問うと、

彼女は我に返ったようにこちらへ顔を戻す。

そして、気のせいだったみたいです、と苦笑いを浮かべた。

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