ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その４８

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

四

ⅷ

「え……」

　落ちたと思った次の瞬間、温かな何かに包まれ瞬きを繰り返す。

誰かが抱えてくれたのだと認識した時には、

そっと地面におろされていた。

いったい何が、と混乱した頭で助けてくれた人物に目を向けると、

間髪入れずに怒号が飛ぶ。

「バッカヤロー！！　何やってんだ！」

「そうよ！　だから木に登るなって言ったじゃない！」

　２人の声につんざかれるやいなや、律子に抱きしめられる。

麻里はわけがわからないままとにかく礼を述べることにした。

「へ？　あ、あの！　えっと！　ありがとうございます」

「ちっ」

　律子から解放されるのを待ってお辞儀を施すと、

軽い舌打ちが返ってくる。

麻里は本気で心配してくれたらしいその人物を観察した。

すらりとした長身の、だが鍛えられた筋肉をも兼ね備えた体躯と、

ウルフカットが印象的な男性だ。

（ちょっとかっこいいかも……）

　今まで自分の傍にはいなかったワイルドな雰囲気の男性を前に、

麻里は少し見惚れる。

（いやいや、今はそんなこと言ってる場合じゃないし）

　慌ててかぶりを振って雑念を頭の隅へ追いやり、律子に視線を向けた。

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