ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その４９

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

四

ⅸ

「え、ええっと？　あの？　お知り合いですか？」

「いいえ。知らない人よ。あなたの知り合いじゃないの？」

　まだ頭は混乱中だったがとりあえず男性を指さすと、

律子に否定される。

麻里は彼女に問いかけられ即座に首を横に振った。

「いえ、ええっと。どちらさまですか？」

「俺のことはどうでもいいんだよ。それよりあんた！

なんでそんな格好で木になんか登ったんだ死にてーのか！」

　男性を見つめためらいがちに問うと、

すごい剣幕でまくしたてられる。

「で、でも私が登らないと鍵が！」

　麻里は驚きつつ、頭ごなしに怒り狂う男性の質問に答えると、

至近距離までにじり寄り凄まれた。

「それはあんたの命より大事なもんなのか？　ああ？」

　チンピラのような動作で睨みつけてくる男性に対し、怒りが湧く。

「大事なものですよ！　そうじゃないと上司に怒られちゃうんです！」

　なによ、と麻里も負けずに睨みかえすが、

わざとらしく鼻を鳴らされた。

「上司だー？　そんな上司はくそくらえだっ」

　助けてもらっておいてなんだが、

そんなことまで言われる筋合いはない。

麻里は仁王立ちして声を荒らげた。

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