ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その５

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

一

ⅴ

　家事もひと通り終えひと息ついたことだし庭いじりを始めよう。

律子は座っていた食卓から席を立った。

「さてっと」

　待ちに待った時間に自然と声も弾む。

しかし出鼻をくじくように、

リビングのソファーでゲームに夢中になっていた翔がこちらを見た。

「母さんまた庭いじり？」

「またって何よ。あんただってすごタロばっかりじゃない」

　翔の可愛くない言い方に反論すると、

わざわざゲームを止め真面目な顔つきで言い返してきた。

「俺は雪姫様を救出するために、

部品集めに燃えてるんだから仕方ないんだよ」

　えらそうに言っているがゲームではないか。

律子は、そのやる気が勉強へ向けばいいのにと

思わずにはいられなかった。

（ま、母親が私なんだからムリか）

　自嘲気味に乾いた笑みをこぼすと、

翔が瞳を輝かせてゲーム機を見せてくる。

「すごいんだぜコレ！

各面に隠されてる部品を見つけて組み合わせると

雪姫様が囚われてる部屋の扉が開くんだよ。

だから何度同じ面をやっても新しい発見があるんだー」

「はいはい。じゃあ翔は雪姫様奪還を頑張ってね。

お母さんはお花ちゃんたちのお世話に勤しんできます」

　一丁前に分析する翔の姿を呆れるべきか、

それとも成長していると感心するべきか。

律子が苦笑しながら居間を出ると、背後から、任せとけ、という

やる気に満ちた息子の声が聞こえてきた。

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