ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その５０

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

四

ⅹ

「あなたそれでも社会人なの！　信じられません！」

「ちょっとあなた心配したのはわかるけど

初対面の相手にその言葉はないんじゃない？」

　いきり立ち一歩前へ詰め寄ると、横から律子も加勢してくれる。

だが、男性はそんなこともお構いなしにさらなる暴言を吐いてきた。

「うっせー、ババアはひっこんでろ！」

　啖呵を切られ律子が固まる。

顔色が白いのはショックを受けたからだろうか。

（なんてひどい！）

　こんないい人にババア扱いはないだろう。

麻里は人差し指を男性の胸に突き立て叫んだ。

「ちょっとあんた！

律子さんになんてこと言うのよ！　さいってー！」

　だが、男性も怯まない。

唸り声をあげてそっぽを向いてしまう。

「ふんっ」

　むかつくとしか言いようのないその態度が我慢ならない。

（もういいわ！　こんな男にかまってなんかいられないもの。

トンビの巣からどんぐりを取らなくちゃ！）

　麻里は憤慨しながらも当初の目的を達成すべく気合いを入れる。

「とにかく私は行きます！　今度こそ実を手に入れなくちゃ！」

　足音荒く銀杏の木に近づき、幹へしがみつこうと腕を伸ばした。

一つ前を読む　　　 GPの部屋に戻る　　　次を読む