ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その６

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

一

ⅵ

　翌日、いつもより早く出てみのりの行方を追うため、

学校へと向かった。

上司からもらった種と説明書は懐へ大事に忍ばせてある。

植えるときに使う水は、

先日生徒から教えてもらったまいまいず井戸のものだ。

飲み水に使っていたのがまだ幾ばくか残っていた。

玄関をでて坂を下り高等部へと向かう。

長い階段を上がりきると、

花壇に植えられたパンジーの前でせっせと世話をしている

多島重弘（たじましげひろ）を見かけた。

「おはようございます」

　声をかけると多島が振り返り破顔する。

「おや、小越先生。おはようございます。お早いですな」

「ええ、ちょっと早く目が覚めちゃって」

　理由が思い浮かばずいいかげんに応えると、

多島が笑顔のまま深く頷いてきた。

「早起きはいいですよ。三文の徳と言いますしね」

「は、はあ」

　麻里は曖昧に微笑み返し花壇に植えられたパンジーに目をやる。

「きれいですねえ」

　ズボラな自分では、

こんなに美しくみずみずしい姿に育てることはできないだろう。

しゃがみこみ花を覗き込んでいると、多島が首をかしげてきた。

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