ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その６５

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

四

ⅹⅹⅴ

（ふふふ。麻里さんはどう返すのかしら）

　律子は胸を弾ませながら麻里の返答を待つ。

「え？　えーっと、は、はい……」

　恥ずかしそうに目線を泳がせながら麻里が頷くと同時に、

青年はパァーっと明るい笑みを浮かべ彼女の頭をなで始めた。

麻里のほうはどうだろうと窺い見れば、

うっとりとした顔を青年へ向けなすがままになっている。

（ちょっとなんなのこの２人。もう、さっさと付き合うべきだわ）

　このまま２人を観察していたいが、

残念ながら午後から予定のある自分にはそんな余裕はない。

律子は泣く泣く彼女たちの世界を壊すことにした。

「あーコホン。お二人さん？

二人の仲を邪魔するのは非っ常に申し訳ないと思うのだけど。

ううん本音はもう少し見ていたいんだけど……

じゃなくて、そろそろその実を植えない？」

　こちらの声に２人が我に返る。

第三者である自分の存在を思い出してくれたのか、

麻里が勢いよく青年から離れた。

「じゃあさっそく……」

　何事もなかったかのように先へ進もうとする麻里に

律子はにやけた。

（付き合い始めたら絶対に無自覚でバカっぷるになるわね。

あーでも今はからかっちゃだめよね）

　せっかく芽吹こうとしている彼らの関係が、

自分がからかったせいで上手くいかなくなるのは申しわけなさすぎる。

律子は緩む顔を引き締めた。

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