ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その６６

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

四

ⅹⅹⅵ

　律子が必死に平常心を取り戻そうとしている間に、

麻里はどんぐりと胡桃割りを青年が掘った穴へ入れる。

その上に土を軽くかぶせ、円を描くように水を撒いた。

「これで何か生えてくるの？」

　何かが起こるような気配のない状況に律子は首をかしげる。

「た、たぶん……あれ？　なにも起こらない？？」

「失敗しちゃったの？」

「さ、さあ……？」

　麻里が困ったように眉を下げると、風と光が巻き起こった。

律子は眩しさに目を瞑る。

しばらくして風がやむと同時に麻里のはしゃいだ声が聞こえてきた。

「あ、生った」

　律子が光に慣らすように瞼をゆっくりと開ける。

そこには小さな梅の木が生えていた。

「すごい！」

「どこに何が出てきてるかなー？」

　麻里は声を弾ませ、木の枝を分けて何かを探している。

本当に黄金梅を咲かすことは可能なのだろうか。

おとぎ話のような展開に律子は胸を踊らせた。

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