ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その７６

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

五

ⅸ

「そ、そうですよ！　ねえ、満さん」

　麻里が同意を求めるように満へ視線を向けるが、

彼は何か探しているのか無反応だった。

青年に無視されたことがショックだったのか、麻里が肩を少し落とす。

律子は眉を下げる彼女を可哀想に思い、話を進めた。

「とりあえず、ここに立ってたって仕方ないから

歩きながら探してみたらいいんじゃないかしら？」

「そうですね。何もしないよりましですよね」

　こちらの提案に、

麻里が気を取り直したかのように明るい声で応える。

その声に今度は満も反応した。

「そうだな。目につくものを片っ端から調べてみろ。

何か書かれてる可能性がある」

「わかりました。じゃあ律子さん、さっそく行きましょう！」

　満から返答があったことが嬉しかったのか、

勢いよく麻里から手を掴まれる。

「ええ、分かったわ……って、麻里さんまたお墓通るの……」

　走り出した麻里に引きづられる形となった律子は、

足をもたつかせながらも彼女の背中を追う。

「お寺にお墓はつきものじゃないですか！」

「それはそうだけど、突っ切るのはどうかと思うのよね」

　律子は背後から黙ってついてくる満の足音を聞きながら、

罰当たりなことをしようとする麻里の背中に苦言をぶつけた。

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