ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その７７

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

五

ⅹ

「それにしても、ないですねーヒントって」

　麻里はぼやきながら、それでも卒塔婆と墓石の間を

一つ一つ確認しながら慎重に進む。

「って麻里さん、よそ様のお墓見たって書いてあるわけないでしょう」

　憤慨した様子の律子に後ろから服を引っ張られた。

「はあ……、そう言われればそうですよね……」

　通路を歩かされ不承不承に頷くと、人差し指を立てて注意される。

「まったくダメよ。罰当たりなことしちゃ」

　子供を叱るように言い含められ頬をかいていると、

ふと、大きな二つの石碑に目がとまった。

「律子さん。あれなんてどうでしょう？」

　それは先刻見た２つの大きな石碑だった。

指さして律子を振り返ると、

律子がお墓に向ってお辞儀しているのが目に入る。

「お騒がせしました」

　最敬礼している律子を麻里は揺する。

「律子さん！　聞いてます？」

　まったく、律子は事の重大さがわかってない。

（まあ、説明するわけにもいかないところもあるんだけど……）

　それでも一度は鍵を手に入れたのだ。

少しは真剣に探してほしいものである。

内心で深く頷いていると、近づいてきた律子が首をかしげた。

「本当ね、何かしら？　石でできた卒塔婆？」

　律子の問いに、それまで無言でついてきていた満が口を開く。

「調べてみる価値はありそうだな」

　彼は宣言すると石碑に近づき検分しはじめた。

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