ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その８０

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

五

ⅹⅲ

「……『大鳥の好みし実を取りて』だよ！」

「きゅ、急にどうしたのよ青年」

　律子は突如発せられた満の大きな声に驚き、目を剥く。

　早鐘のように打つ胸に手を当て彼を問いただすと、

麻里も首を傾げたまま口を開いた。

「それはどういう意味ですか？」

「だから『大鳥』と『実取り』なんだよ」

　満は頭をバリバリと掻きながら単語のみを繰り返す。

しかし律子には彼の意図していることが理解できなかった。

「えっと、つまり？」

　もう少し噛み砕いた説明を求めようと満へ目線を向けると、

麻里が手を叩きはしゃぎ出す。

「そうか！

『大鳥』だから『おお』と

『実取り』だから『み』を取ればいいんですね！」

　興奮したように麻里は自分の考えを口にする。

その勢いのまま、歌いあげるように古字をそらんじた。

「『ふるきひとのまいをおどらば

うんのぞうよりかぎのしゅをたまわらむ』

これなら意味が通じますよ！」

「あー、そういうこと。って麻里さんこの字読めるの？」

　先ほど、卒塔婆に書かれている文字がわからないと

言っていなかっただろうか。

律子は、瞳を輝かせたまま卒塔婆の文字をなでている麻里の顔を

まじまじと見つめた。

一つ前を読む　　　 GPの部屋に戻る　　　次を読む