ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その８３

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

五

ⅹⅵ

（そんな尊敬しますって顔で見られても……）

　そもそも盆踊りなんてものは黄梅の民ならば、

それこそ小さい頃から飽きるくらいに踊らされている。

すごさで言うのならば、耳で聞いたものをすぐに記憶できるといった

麻里の特技のほうが何十倍もすごいはずだ。

　律子は彼女の視線にいたたまれなくなり顔を逸らした。

それと同時に腕をひっぱられ、前へつんのめる。

驚いて目線をそちらへやると、

いつの間にか麻里に腕を捕まれていたらしい。

瞠目したまま彼女へ見ると、

満面の笑みを浮かべた彼女と目が合った。

「じゃあさっそく入り口へ行きましょう！」

「オレは踊らないぞ！　って、おい聞いてるのか？」

　どうやら麻里は自分だけではなく満の腕も掴んでいたようだ。

顔を赤くさせ喚く青年の声など聞こえていないかのように、

麻里は自分たちをひっぱりながら走り出した。

「みんなでがんばりましょー！」

「そ、そんなに走らなくたって像は逃げないわよ」

　目標を決めてしまった彼女には何を言っても聞こえないだろう。

それでも律子は、猪突猛進で突き進もうとする麻里に

聞こえるようにと声を張った。

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