ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その８４

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

五

ⅹⅶ

「ふいー結構距離ありましたねー」

　両手で掴んでいた二人離し振り返ると、律子が肩で息をしていた。

「ゼーハーゼーハー」

　麻里は膝に手を置き呼吸を整えている律子を前に、手を広げる。

「さあ、満さん、律子さん！　踊ってください！　思う存分！」

「って何言ってるのよ。あなたも踊るのよ麻里さん」

　顔をあげた律子に告げられ、え、と瞳をまたたかせた。

「で、でも私踊りって苦手ですし……」

　はっきり言ってリズム感は皆無であると言っていい。

そんな自分に踊りを踊れというのは酷ではないか。

麻里は眉を寄せて律子へ問いかける。

「こういうのは上手な人が踊ったほうがよくないですか？」

　必死に訴えかけると、律子が腰に手をあてた。

「種を欲しがってるのは麻里さんじゃない。

そのあなたがやらないでどうするのよ」

「は、はあ、まあ……」

　確かに種が欲しいのは自分だが、

これは律子にも関係のあることではないだろうか。

釈然としない思いで曖昧に頷いていると、隣にいた満がぼそりと呟く。

「お前が踊らないなら、オレも踊らない」

　それは困る。

踊りを知っている人間がきちんと踊ってくれないかぎり、

種は手に入らないだろう。

麻里はしばし黙考し、満を見つめる。

「なら、教えてもらえます？」

　満に問いかけると、彼が目を瞠ってきた。

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