ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その９６

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

五

ⅹⅹⅸ

「おい、あんたあいつの連絡先知ってるか？」

「あ、あいつって麻里さん？　

連絡先は知らないけど学園で働いてるらしいから

取ろうと思えば取れるわよ」

　律子は迫ってくる満にのけぞりながら応える。

「なら、あんたに連絡先を教えておくから

あいつにも教えておいてくれ」

（なんでさっき訊いておかないのよ！）

「えぇ、いいわよ」

　律子は内心で愚痴りながらも、何食わぬ顔で携帯を取り出した。

「長、早く。時間がありません」

「ああ、わかってる。それじゃ種はあんたに任せる」

　満は、急かすカラスの声に慌ただしく赤外通信を終える。

そして用は済んだとばかりに一方的にまくし立てると、

カラスを伴い木々の合間を駆けて行ってしまった。

「ええ、ちょっとー！

って、満くんに種を押し付けようとした私の計画は？」

　律子はあまりの展開についていけず、

誰もいなくなった場所で１人むなしく不満の声をあげた。

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