Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




I




「あー、お嬢様のことは気にしないでいただいて構いませんよ。

でもそうですか約束があるのですね……

残念だな。涼介君のお力を借りたかったのですがね……」


 自分の考えに没頭していたこちらをよそに、

碧がわざとらしく肩を落とし涼介の同情をひこうとしていた。

そんな嘘臭い手に引っかかる人間なんていないだろうと思っていたが、

涼介には効果あったようだ。


「う……」


 気まずそうな顔で碧の視線から逃れるように

キョロキョロと目線を逸らしている。


(え? なんで? 誰が見たって演技じゃない)


 このままでは碧に押し切られてしまうかもしれない。

みのりは碧の演技を邪魔するべく口を開いた。


「少しは構いなさ……モガモガモガ」


 しかし、こちらの行動など彼には予測済みだったらしい。

すぐさま口をふさがれ、みのりは何も言えなくなる。


「あー、気にしないでくださいね」


 涼介が不思議そうな顔を向けてきた。

それを碧は何事もなかったかのように人受けのよい笑みで誤魔化す。


「これは僕のわがままなんですから。

約束があるんじゃ仕方ありませんよね」


 碧は再び涼介の気を引くように、

笑みを消し寂しげな表情で下を向いた。










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