Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
六
IF
「必要ならばまたかけてこられるのではないですか?
それよりもせっかくですので僕たちも温泉へ入りませんか?」
「あ、はい。そうですね。あとにします。温泉なんて久しぶりだし」
少しわざとらしかったかと内心で舌打ちしたくなったが、
涼介は何も感じなかったみたいだ。
素直に携帯電話をズボンのポケットにしまう涼介を見て、
碧は笑みを深くした。
「ここの温泉はいいですよ。
肌がつるつるして女性には人気なんですよ」
「肌がつるつる?」
「そうなんですよ」
梅の間に荷物をいれながら涼介に相槌すると、
何かいかがわしいことを想像したのか青年の頬が上気する。
(これが悲しき男の性ってやつですかね)
碧は涼介に激しく同意しながら、
みのりのそばにいる最愛の義妹の姿を脳裏に描いた。
白く華奢な肩が乳白色のお湯から微かに顔を出している。
頬が赤く染まった顔にある大きな茶色い瞳はうっとりと細められ、
しっとりと濡れた頭の上にはちょこんと小さく畳まれた
タオルが置かれていた。
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