Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




IF




「必要ならばまたかけてこられるのではないですか?

それよりもせっかくですので僕たちも温泉へ入りませんか?」

「あ、はい。そうですね。あとにします。温泉なんて久しぶりだし」


 少しわざとらしかったかと内心で舌打ちしたくなったが、

涼介は何も感じなかったみたいだ。

素直に携帯電話をズボンのポケットにしまう涼介を見て、

碧は笑みを深くした。


「ここの温泉はいいですよ。

肌がつるつるして女性には人気なんですよ」

「肌がつるつる?」

「そうなんですよ」


 梅の間に荷物をいれながら涼介に相槌すると、

何かいかがわしいことを想像したのか青年の頬が上気する。


(これが悲しき男の性ってやつですかね)


 碧は涼介に激しく同意しながら、

みのりのそばにいる最愛の義妹の姿を脳裏に描いた。


 白く華奢な肩が乳白色のお湯から微かに顔を出している。

頬が赤く染まった顔にある大きな茶色い瞳はうっとりと細められ、

しっとりと濡れた頭の上にはちょこんと小さく畳まれた

タオルが置かれていた。










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