Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
六
IG
「あー、温泉のお湯になって紅の肌にまとわりつきたい」
思ったままを口にすれば、
涼介の楽しげに笑う声が聞こえてくる。
「あはは。碧さんの愛情表現はたまに過激ですねー」
涼介が何かを探すように見回しながら部屋の中へ入る。
碧も荷物を持ったまま彼のあとへ続く。
10畳ほどの広さのある室内に1歩足を踏み入れると、
井草の香りが鼻をくすぐった。
中央には黒光りした6人がけの長方形の低い机が置かれている。
入り口から見て対角線にテレビがあり、
その隣には木に青々と実った梅の実に
雪姫がそっと手を添えている掛け軸がかけられていた。
「そんなことないですよ。まだまだ足りないくらいですから」
「いいなー。やっぱり絆ですねー」
碧が床の間付近へ持ってきた荷物を置くと、
涼介が鼻歌を交えながら部屋の中をうろうろと探索していた。
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