Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
六
IID
「ちょっ、え、碧? 何言ってるのよ。
ここは女湯だから無理に決まってるでしょうが」
「ちょ、ちょっと待ってください!
いくらなんでも女湯ですよ!」
自分の声に重なってきた声に、みのりはドキリと鼓動を早める。
「涼介? あんたもそっちにいるの?」
「そりゃ、男湯なんだからいるのは当たり前だろう?」
それでは先ほど聞こえてきた声は涼介のものだったのだろうか。
自分たちが入っていたのだから彼らが入っていても当然なはずだ。
しかし、みのりはそんなことを考えつきもしなかった。
「それはそうなんだけど……
じゃなくて、碧がこっちへ来ないように抑えてて」
「あ、ああ。わかった。碧さん、すみません!」
バシャバシャと湯船が波立った音が聞こえてくる。
涼介は無事に碧を押さえつけることができたのだろうか。
(でもあいつってば碧の言うことだったら簡単に聞いちゃいそう……)
そもそも護衛役として自分についている碧が、
あんなひょろりとした涼介に押さえつけられるとは思えない。
だが、それでも一縷の望みを胸にみのりは壁を睨みつけた。
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