Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




IID




「ちょっ、え、碧? 何言ってるのよ。

ここは女湯だから無理に決まってるでしょうが」

「ちょ、ちょっと待ってください!

いくらなんでも女湯ですよ!」


 自分の声に重なってきた声に、みのりはドキリと鼓動を早める。


「涼介? あんたもそっちにいるの?」

「そりゃ、男湯なんだからいるのは当たり前だろう?」


 それでは先ほど聞こえてきた声は涼介のものだったのだろうか。

自分たちが入っていたのだから彼らが入っていても当然なはずだ。

しかし、みのりはそんなことを考えつきもしなかった。


「それはそうなんだけど……

じゃなくて、碧がこっちへ来ないように抑えてて」

「あ、ああ。わかった。碧さん、すみません!」


 バシャバシャと湯船が波立った音が聞こえてくる。

涼介は無事に碧を押さえつけることができたのだろうか。


(でもあいつってば碧の言うことだったら簡単に聞いちゃいそう……)


 そもそも護衛役として自分についている碧が、

あんなひょろりとした涼介に押さえつけられるとは思えない。

だが、それでも一縷の望みを胸にみのりは壁を睨みつけた。










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