Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
六
IIE
「紅ー!! 僕が今行くよー」
やはり涼介には荷が重過ぎたようだ。
威力を失っていない碧の言葉に血の気がひく。
「ここに涼介が来るマロ?」
「来るわけないでしょう。てか女湯に男が来たらダメなのよ」
呑気な声で訪ねてくる雪姫を諫めると
悲鳴にも似た涼介の声が壁越しに降ってきた。
「お、俺はいきません!」
「そうなのマロ?」
「そうなのよ!」
腑に落ちない様子の雪姫に言い聞かせていると
何かが動く気配を感じ、視線をそちらへ動かした。
「紅、大丈夫?」
湯船から出て涼んでいた紅がこちらへ近づいてくる。
「大丈夫。少し、冷えた」
「あ、本当だわ。手が元に戻ってる」
猪化した手もそれはそれで可愛いのだが、
誰かに見られる恐れがある場所だと人目が気になって仕方がない。
みのりは人化に戻った紅の手を握り、ホッと息をついた。
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