Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




IIE




「紅ー!! 僕が今行くよー」


 やはり涼介には荷が重過ぎたようだ。

威力を失っていない碧の言葉に血の気がひく。


「ここに涼介が来るマロ?」

「来るわけないでしょう。てか女湯に男が来たらダメなのよ」


 呑気な声で訪ねてくる雪姫を諫めると

悲鳴にも似た涼介の声が壁越しに降ってきた。


「お、俺はいきません!」

「そうなのマロ?」

「そうなのよ!」


 腑に落ちない様子の雪姫に言い聞かせていると

何かが動く気配を感じ、視線をそちらへ動かした。


「紅、大丈夫?」


 湯船から出て涼んでいた紅がこちらへ近づいてくる。


「大丈夫。少し、冷えた」

「あ、本当だわ。手が元に戻ってる」


 猪化した手もそれはそれで可愛いのだが、

誰かに見られる恐れがある場所だと人目が気になって仕方がない。

みのりは人化に戻った紅の手を握り、ホッと息をついた。










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