Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
一
I@
「あ、いや。つまり、その……」
「フンガ、モガモガムームー」
(ちょっと何そんな簡単に騙されてるのよ。
碧の顔を覗いてみなさいよ、絶対に笑ってるから!)」
未だに碧の手で塞がれている口からなんとか声を発する。
しかしそれは言葉にならず。
1人思案し始めた涼介の耳には届いてすらいないようだった。
しばらくして涼介はため息をつくと、頭をがしがしとかき始めた。
「わかりました。一緒に行きます。行けばいいんでしょう?」
涼介の突然の行動にみのりは驚き目を見張る。
それは碧も同じだったらしい。
「いいのですか?」
「はい……」
「ありがとうございます涼介君。お嬢様もよろしいですね?」
(この碧に逆らっては駄目よ)
文句があるのならばそれ相応の覚悟があるのだろうな、
とでも言うような碧の瞳がまったく笑っていない笑みに、
みのりはゴクリと唾を飲み込んだ。
「し、仕方ないから許してあげるわ。本当に仕方なくだからね、
足を引っ張るようならただじゃおかないんだから」
やっと離れた碧の手から逃げるように体をずらす。
そして側近に負けたなどと思わせないように何食わぬ顔で、
涼介へ命令した。
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