Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




III




(まあ、普通はそうだよな)

 そんなに色っぽい話になるはずがない。

(けど……)

 もう少し優しげな労いの言葉があってもいいのではないだろうか。

そんなことをぼんやりと考えていると、

またしても紅の言葉が降ってきた。

「お嬢さま、マッサージする」

「えー、いいわよ」

 湯の跳ねる音が聞こえたとたん、涼介の胸は跳ね上がる。

「大丈夫。腕出して」

「え? そう? じゃあ、お願いね」

 聞かされるこっちの身にもなってくれ、

と叫びたいのを堪えているうちにも紅の容赦ない声が届く。

「うん。やっぱり、温泉効果。お嬢さま、腕もすべすべのつるつる」

「きゃっ、ちょっと紅、くすぐったいわよ」

 鼻の穴まで湯に浸かりどうにか火照る身体をやりすごしていると、

隣にいた碧が夢心地といった表情で呟いた。










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