Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
六
III
(まあ、普通はそうだよな)
そんなに色っぽい話になるはずがない。
(けど……)
もう少し優しげな労いの言葉があってもいいのではないだろうか。
そんなことをぼんやりと考えていると、
またしても紅の言葉が降ってきた。
「お嬢さま、マッサージする」
「えー、いいわよ」
湯の跳ねる音が聞こえたとたん、涼介の胸は跳ね上がる。
「大丈夫。腕出して」
「え? そう? じゃあ、お願いね」
聞かされるこっちの身にもなってくれ、
と叫びたいのを堪えているうちにも紅の容赦ない声が届く。
「うん。やっぱり、温泉効果。お嬢さま、腕もすべすべのつるつる」
「きゃっ、ちょっと紅、くすぐったいわよ」
鼻の穴まで湯に浸かりどうにか火照る身体をやりすごしていると、
隣にいた碧が夢心地といった表情で呟いた。
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