Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
六
IIIA
「ここ、肩こりに効くツボ」
紅がこちらの腕を持ち上げ、関節の両脇を押してくる。
「ん……」
みのりは、紅の細い指先から繰り出される圧に、
小さく息を漏らした。
別段肩が凝っているとは思っていなかったが、
これはこれで気持ちがいい。
うっとり微睡んでいると
男湯から言い合いのような声が聞こえてくる。
「何がダメなんだい涼介君。僕はあの壁を背もたれにしようと」
「と、とととととにかくダメなんです!」
みのりは安らぎを邪魔してきた男たちの不粋な声に、
顔をしかめた。
せっかく気分よく癒やされていたというのに、
何を喚いているのだろう。
耳をそば立てて会話を聞いてみるのもいいかもしれない。
日頃何を考えているかわからない側近でも
気が緩めば本音を漏らす可能性だってある。
「はぁー気持ち良かった。紅、ありがとう」
みのりはこちらが言うまでずっと続けそうな紅へ礼を言い、
壁の向こう側に聞き耳を立てた。
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