Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




IIIA




「ここ、肩こりに効くツボ」


 紅がこちらの腕を持ち上げ、関節の両脇を押してくる。


「ん……」


 みのりは、紅の細い指先から繰り出される圧に、

小さく息を漏らした。

別段肩が凝っているとは思っていなかったが、

これはこれで気持ちがいい。

うっとり微睡んでいると

男湯から言い合いのような声が聞こえてくる。


「何がダメなんだい涼介君。僕はあの壁を背もたれにしようと」

「と、とととととにかくダメなんです!」


 みのりは安らぎを邪魔してきた男たちの不粋な声に、

顔をしかめた。

せっかく気分よく癒やされていたというのに、

何を喚いているのだろう。


 耳をそば立てて会話を聞いてみるのもいいかもしれない。

日頃何を考えているかわからない側近でも

気が緩めば本音を漏らす可能性だってある。


「はぁー気持ち良かった。紅、ありがとう」


 みのりはこちらが言うまでずっと続けそうな紅へ礼を言い、

壁の向こう側に聞き耳を立てた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む





QLOOKアクセス解析