Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




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 温泉を堪能し、部屋へ戻ると

女将を筆頭とした幾人かの中居たちが

夕食の準備に取りかかっていた。



「はぁー、美味しかった」


 みのりは跡形もなく片づけられたテーブルを眺めながら

満たされた腹をさする。


「俺もう腹いっぱいだよ」


 向かいに座っていた涼介も、

背中を反らすように腰掛けの背もたれに抑えつけていた。

満足気に瞳を閉じている青年の姿にみのりは目を和ませる。


(あんな顔もするのね)


 再会してから終始、眉を釣り上げて文句を言うか、

困惑気味に眉尻を下げた顔ばかりを見てきた。

それが今はすべて消え、穏やかな顔つきになっている。


(こういう顔を最初から見せてくれたら

私だってけんか腰にならなかったのに……)


 初めて会ったあのときもそうだった。

楽しそうに川原で遊んでいた涼介に興味を持ち

近づいた途端に困り顔をされたことを思い出し、

みのりは顔をしかめる。


(別に私はあいつがどんな顔をしていようが関係ないけどね)


 ふん、と鼻を鳴らすようにそっぽを向くと、

爽やかな笑みを浮かべて近づいてくる碧と目が合った。










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