Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




A




「お嬢様、お茶はいかがですか?」

「あ、ありがとう」


 見透かされる碧の視線から逃れるように

顔をテーブルへと目線をそらす。

しかし碧をそれを気にした様子もなくお茶を目の前に置いた。


「涼介君もどうぞ」

「ありがとうございます」


 何事もなかったかのように淡々と仕事をこなす側近の態度に

居たたまれなくなり、みのりは誰ともなく話しかける。


「はぁ、それにしても美味しかったなー、わさびアイス」

「私、わさびアイス、嫌い」


 紅が話にのってきた。

しかしその顔は少しふてくされているようだった。

その原因は話題にした『わさびアイス』のせいだろう。


「あー、紅は鼻がいいからつらいものね」


 わさび特有のツンと鼻を刺激してくる感じが

面白くて気に入ったが、

猪の獣人である紅には強すぎる刺激だったはずだ。

みのりは両手で湯のみを持ち、

ふーふーと息を吹きかけている紅の頭を

慰めるように優しくなでた。

そこへ、紅の残したアイスまで完食した雪姫の甲高い声が

響きわたる。










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