Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
七
A
「お嬢様、お茶はいかがですか?」
「あ、ありがとう」
見透かされる碧の視線から逃れるように
顔をテーブルへと目線をそらす。
しかし碧をそれを気にした様子もなくお茶を目の前に置いた。
「涼介君もどうぞ」
「ありがとうございます」
何事もなかったかのように淡々と仕事をこなす側近の態度に
居たたまれなくなり、みのりは誰ともなく話しかける。
「はぁ、それにしても美味しかったなー、わさびアイス」
「私、わさびアイス、嫌い」
紅が話にのってきた。
しかしその顔は少しふてくされているようだった。
その原因は話題にした『わさびアイス』のせいだろう。
「あー、紅は鼻がいいからつらいものね」
わさび特有のツンと鼻を刺激してくる感じが
面白くて気に入ったが、
猪の獣人である紅には強すぎる刺激だったはずだ。
みのりは両手で湯のみを持ち、
ふーふーと息を吹きかけている紅の頭を
慰めるように優しくなでた。
そこへ、紅の残したアイスまで完食した雪姫の甲高い声が
響きわたる。
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