Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




E




(なんだってんだろう?)

 碧が紅ばかりを構うのが嫌なのだろうか。

(もしかして、みのりさんは碧さんのことを……?)

 ふいに浮かんだ考えに、意味もなく胸がちくりと痛んだ。

(まあ、碧さんなら好きになるのも頷けるしな)

 小さく首を縦に振ることで痛みを誤魔化していると、

雪姫の陽気な声がとんできた。

「わらわは愛でるよりも食したいマロー!!」

「お嬢さまと一緒なら愛でるだけでも、いい」

 ぎゅっとみのりに抱きつく3人を眺めながら、

なんだかやたらほっこりとした気分になる。

先刻までの痛みが薄らいだのは、

やはり碧と紅、そしてみのりの仲が良いからなのだろう。

「なんだかやけちゃうなあ」

 ふと口元を緩め小さく呟くと、

隣でお茶をすすっていた碧が微笑みかけてきた。

「なら涼介君も愛でてみてはいかがですか? 例えばお嬢様とか」

 思いがけない碧の言葉に、涼介は目を瞠る。

「み、みのりさんをですか? みのりさんじゃあなあ……」

 他人に恋している人間を愛でるのは、さすがに空しい。

涼介は頬をかいてぼやくことで、碧の提案を流すことにした。










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