Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
七
E
(なんだってんだろう?)
碧が紅ばかりを構うのが嫌なのだろうか。
(もしかして、みのりさんは碧さんのことを……?)
ふいに浮かんだ考えに、意味もなく胸がちくりと痛んだ。
(まあ、碧さんなら好きになるのも頷けるしな)
小さく首を縦に振ることで痛みを誤魔化していると、
雪姫の陽気な声がとんできた。
「わらわは愛でるよりも食したいマロー!!」
「お嬢さまと一緒なら愛でるだけでも、いい」
ぎゅっとみのりに抱きつく3人を眺めながら、
なんだかやたらほっこりとした気分になる。
先刻までの痛みが薄らいだのは、
やはり碧と紅、そしてみのりの仲が良いからなのだろう。
「なんだかやけちゃうなあ」
ふと口元を緩め小さく呟くと、
隣でお茶をすすっていた碧が微笑みかけてきた。
「なら涼介君も愛でてみてはいかがですか? 例えばお嬢様とか」
思いがけない碧の言葉に、涼介は目を瞠る。
「み、みのりさんをですか? みのりさんじゃあなあ……」
他人に恋している人間を愛でるのは、さすがに空しい。
涼介は頬をかいてぼやくことで、碧の提案を流すことにした。
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