Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
七
I@
「ううん。いいわ、紅。可愛いから、それで許す」
一人何度も頷いた後お茶に口をつけ、
おもむろに顔をあげてくる。
「じゃなくて、その太一君だっけ? そんな子とどこで知り合ったのよ」
顔をひたと見据えてくるみのりの問いに、
涼介は記憶を巡らせた。
「鳴木九魔除(なりきくまの)神社の近くだったかな。
たまたまぶつかったんだ」
「たまたまぶつかったぁ?」
事実を端的に告げただけなのに、またしてもみのりが声を裏返す。
「ああ。兄貴に電話しようとしてたら急に前からさ」
涼介は首肯した。
確かにめったにあることではないかもしれないが、
本当のことなのだからしかたがない。
少しだけむっとして腕を組んでいると、
みのりの呟きが聞こえてきた。
「そんな偶然が……ううん。
そんなことより、なんでその子は種持ってたのかしら?」
みのりの疑問に碧も頷く。
「そうですね。吉田という苗字は
梅八家でもなければそれに付随する分家でもないですしね」
碧の発言に涼介は再度太一との会話を想起してみた。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|