Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
七
ID
「じゃぁ、近いうちに太一君に会わせなさいよ」
「いいけど。彼には崇高な目的があるんだから、
邪魔しないでやってくれよ?」
釘をさしてくる涼介に、みのりは鼻で笑う。
「崇高な目的? 小学生の願いが崇高なら、
私の願いのほうがすごいんだから」
「それは聞き捨てならないな。
じゃあ、君の願いってどんなのだよ?」
「そ、それは……」
突然睨みつけてくる涼介に口ごもる。
自分の願いを正直に話すのは気が引けたからだ。
そこへ碧が割って入ってくる。
「まあ、願いがなんであるせよ。
一度山波さんや涼介君の知り合った少年を交えて
話し合いの場を持つことはいいことだと思いますよ」
「太一君をここへ呼ぶってことですか?」
涼介の視線が碧へと移り安堵するこちらをよそに、
彼らの会話は続く。ここは碧に任せてしまおう。
下手に口を出して太一と会えなくなってしまうのは困る。
そう思い碧へ目線をやれば、
こちらの意が伝わったのか碧が瞳だけで頷いて見せた。
「別に場所はどこでも大丈夫ですよ。
大切なことは種を発芽させた人が集まるってことですから」
「わかりました。じゃあ、さっそく連絡を取ってみます」
そう言うやいなや涼介が携帯を持って立ち上がる。
(私が言ったらあんな素直に実行しないわよね、絶対に……)
碧を慕う涼介を些か呆れながらも、
みのりは涼介の協力者をどうやってこちら側へつかせるか、
部屋を出て行こうとする涼介の背中を見つめながら模索した。
end
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