Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




ID




「じゃぁ、近いうちに太一君に会わせなさいよ」

「いいけど。彼には崇高な目的があるんだから、

邪魔しないでやってくれよ?」


 釘をさしてくる涼介に、みのりは鼻で笑う。


「崇高な目的? 小学生の願いが崇高なら、

私の願いのほうがすごいんだから」

「それは聞き捨てならないな。

じゃあ、君の願いってどんなのだよ?」

「そ、それは……」


 突然睨みつけてくる涼介に口ごもる。

自分の願いを正直に話すのは気が引けたからだ。

そこへ碧が割って入ってくる。


「まあ、願いがなんであるせよ。

一度山波さんや涼介君の知り合った少年を交えて

話し合いの場を持つことはいいことだと思いますよ」

「太一君をここへ呼ぶってことですか?」


 涼介の視線が碧へと移り安堵するこちらをよそに、

彼らの会話は続く。ここは碧に任せてしまおう。

下手に口を出して太一と会えなくなってしまうのは困る。

そう思い碧へ目線をやれば、

こちらの意が伝わったのか碧が瞳だけで頷いて見せた。


「別に場所はどこでも大丈夫ですよ。

大切なことは種を発芽させた人が集まるってことですから」

「わかりました。じゃあ、さっそく連絡を取ってみます」


 そう言うやいなや涼介が携帯を持って立ち上がる。


(私が言ったらあんな素直に実行しないわよね、絶対に……)


 碧を慕う涼介を些か呆れながらも、

みのりは涼介の協力者をどうやってこちら側へつかせるか、

部屋を出て行こうとする涼介の背中を見つめながら模索した。



end







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