Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




@




 外へ出るとみのりは先ほどと同じように紅と一緒に後部座席へ

乗り込んだ。

それと同時に、碧の隣に座ると思っていた涼介が

向かいのドアから入ってきた。


「ちょっとなんであんたが後ろに座るのよ」


 涼介に近づくまいと紅のほうへ寄る。

しかし、自分が思うほど彼との距離が開かず、

みのりは体を固くした。


「碧さんから乗るようにって言われたからだよ」

(碧に言われたからってなんで素直に乗ってくるのよ。

断りなさいよ)


 みのりは涼介を睨みつけようと体を動かす。

その隣で紅が小さく身じろいだ。


「……狭い」


 勢いあまって紅へ寄りすぎてしまっていたらしい。

いくら涼介に近づきたくないからといって

紅に窮屈な思いをさせるのは申し訳ない。

みのりは、嫌々ながらも涼介側へと体をずらす。

だが、涼介の体に触れるのが嫌で彼女を楽にしてあげられるほど

隙間を開けることはできなかった。


(これ以上は無理だわ……紅、不甲斐ない主でごめんなさい)

「紅、なぜ助手席へ来てくれないんだー」


 みのりが紅へ謝罪しようと口を開く前に、

前方から嘆きの声が聞こえてくる。

涼介を後部座席へ座らせれば、紅が自分の隣に座ると思ったのだろう。

しかしながら彼女の返答は素っ気のないものだった。










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