Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
二
B
「紅。紅の気持ちはとても嬉しいわ。
だけど今回だけは助手席へ座って」
「俺がそっちにいくんじゃだめですか? 碧さん」
(今さらそんなことを言うなら乗ったばかりのときに言いなさいよ)
始めから涼介が助手席に座るとは宣言してくれれば
気を使わなくて済んだのだ。
みのりはこちらの行為を水の泡にしようとする涼介に、
内心で舌打ちをした。
だが、碧は涼介を後部座席に留(とど)めておきたいようだ。
きっと市長につけいる機会を与えたくないのだろう。
顔は笑っているが、
瞳の奥は有無を言わせない鋭さが見え隠れしている。
「君のお兄さんから頼まれたからには君を助手席に
座らせるわけにはいかないんだよ」
こういうときの碧に何を言っても、彼の発言が覆ることはない。
それが今まで無視を決め込んでいた紅にもわかったのだろう。
小さく息を吐き出し、こちらを見てくる。
みのりがそれに黙ったまま頷くと、
紅は眉を下げ渋々といった態で外へ出た。
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