Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
二
C
「なんかすみません……。ご迷惑おかけして」
「君が気にすることはないんですよ。当然のことですし。
それにもしかしたらお嬢様の婿になるかもしれないお方を
助手席になんてね」
「碧!」
みのりはにやりと笑う碧の背もたれを蹴りつける。
からかいを含んだ物言いに頬が熱くなった。
(む、婿になんてなるわけないでしょう。
それが嫌で逃げてるのに……)
本家の言いなりで結婚するなんてごめんだ。
自分の好きな人は自分で決める。
だいたいこの男は、雅秋の言いなりになっているくせに
こちらに対して楯突く態度ばかりしてくるのだから好意なんてものは
ないはずだ。
(そりゃあ、敬われるよりは全然いいけど……ってそうじゃなくて)
これでは自分が涼介を良いと思っているようではないか。
みのりは自身の考えに突っ込みを入れた。
「あー……ええっと、それはないんじゃないかと思うんですが……」
「未来はどうなるかわかりませんよ」
こちらをちらちらと伺いながら否定の言葉を繰り返す涼介に
碧が爽やかな笑みを向ける。
そしてちょうど助手席に乗り込んできた紅を迎え入れた。
「はあ……」
みのりは肯定ともとれるあいまいな頷きをする涼介に、
目を剥いた。
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