Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
一
A
「お前、私の時と態度違いすぎないか?」
兄の苦言に応える前に、横からみのりが茶々を入れていくる。
「ちょっと碧、何親しげに話してるのよ!」
碧に食ってかかるみのりを尻目に涼介は雅秋を見た。
「当たり前です。兄さんと碧さんじゃ月とすっぽんですから」
腕を組んで兄に答える。
すると後ろから碧の弾んだ声が聞こえてきた。
「みのりお嬢様も涼介君と親しく話したいのですか?」
「なっ、何言ってるのよ、そんなわけないでしょう。
なんで私がこんな男と親しくならなくっちゃいけないのよ!」
勢いよくこちらを指さしてくるみのりにむっとしていると、
さらに後ろから少女がおもむろに口を開く。
「お嬢さま、顔赤い。熱出た?」
心配げに首をかしげてくる少女の言葉に、みのりが頬に手をあてる。
「別に赤くなんてないわよ、紅」
「いやいや、愚弟に興味を持ってくださってうれしい限りです」
微かに声を震わせながら答えるみのりへ雅秋が大きく頷いた。
意味ありげにこちらを見てくる碧と雅秋を前に、
涼介は言葉を詰まらせる。
なんだか雰囲気がおかしい。
これではただのお見合いみたいではないか。
(冗談じゃない)
そうそう雅秋の思惑通りに進ませてなるものか。
涼介は視線を逸らし上昇する体温を誤魔化し手を頭にあてた。
「そ、そうですよ。わがままお嬢……、じゃなくて
みのり様が俺なんかを相手にするわけないじゃないですか。
ははははははははは」
我ながら下手な言い訳だと思いつつ口を開くと、
みのりの視線が鋭くなった。
「ちょっと、誰がわがままよ。笑って誤魔化すんじゃないわよ」
「ごまかしてなんて。大体事実を言っただけだから」
わがままをわがままと言って何が悪い。
だいたい丸く収めようと思ってしたことなのに、
なぜ言いとがめられなくてはならないのか。
当然のことだろうとの意を込めてみのりに目をやると、
みのりの顔が怒りで赤く染まった。
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