Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
二
H
「見せてもらってもいいですか?」
「どうぞ」
碧の願いだったからか、
涼介が今度は素直にポケットから実らせたもの取り出す。
「セットメニューを頼むと好きなデザートが
無料でついてくるっていうクーポン券なんですよ」
(クーポン券なんて生えたの?)
金属の部品といい、
黄金梅から成るものはこちらの予想しないものばかりである。
みのりがもう少し詳しく見ようと首を伸ばすが、
紅が碧の手へ渡る前にクーポン券を奪ってしまった。
自ら動くことがあまりない紅らしからぬ行動に
何が起きたのか茫然とする。が、小さく漏らした彼女の呟きに
頭の回転が再起動した。
「トニーズのクーポン券」
「え? トニーズですって? 紅、私にも見せて」
すぐに渡してもらえたことに安堵しながら、
みのりは受け取ったクーポン券を見る。
ペラペラの小さな紙切れには確かにトニーズと言う名前と
ケーキやパフェといったデザートの写真が描かれていた。
トニーズは、外食などほとんどしたことのない自分が
両親の目を盗み碧に初めて連れて行って貰った場所だ。
クラスで聞いたドリンクバイキングなるものを試してみたかったのだが、
残念ながらトニーズにはそのシステムがなく
ガッカリしたのをよく覚えている。
だが、そのあと紅と一緒に食べたデザートの美味しさに
そんな気持ちはすぐに払拭された。
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