Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




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「あんたから恵んでもらわなくたって普通に注文するから結構よ!」


 鼻息を荒くして断ると、

碧が眉を下げ俯きながら涼介へ話しかける。


「涼介君、さっき僕に言ってくれたことは嘘だったのかい?」

「う……。い、いえ、嘘ではないんですけど……けど……」


 自分たちには効果のない碧の演技でも、

碧のことを慕っている涼介にとっては有効なようだ。

みのりはしどろもどろに受け答えする彼を見ながら、

心の内で碧へ拍手を送った。


「良かった。それでは、一緒に行ってくれるね?」

「は、はあ……」


 涼介に考えさせる間を与えないためか、

碧は涼介を言いくるめると身体を前へと向ける。


「それではお嬢様、トニーズへ向かうということでよろしいですか?」

「えぇ、いいわよ」


 狐に摘まれたような顔をしている涼介を横目に頷いてみせると、

紅が出発を促すような合いの手を入れてくる。


「アイス」

「紅、アイスが来たら僕が食べさせてあげるからね」

「いらない。自分で食べる」


 みのりは紅と碧のいつも通りの会話に頬を緩めながら、

久しぶりに味わうことのできるトニーズのアイスへ思いを馳せた。










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