Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




IB




「それはあなたのものだからあなたが持っていて」

 再度振り返ったみのりにクーポン券をそっと押し返される。

軽く触れた手の優しさに内心で焦った。

傍若無人にしか思えなかったみのりが普通の少女に見える。

「そうかい? わかったよ。じゃあ持ってる」

 胸の内を悟られぬよう平静を装って言葉を返すと、

碧のどことなく緊迫感のある声が聞こえてきた。

「紅、すまない。紅のアイスは今回はお預けかもしれない」

 聞いたことのない真剣な碧の言葉に涼介は首をかしげる。

「一緒に頼んであげればいいんじゃないですか」

 意味のわからぬまま提案すると、

みのりが心底うんざりしたように碧へ尋ねた。

「またお母様たちの追手なの?」

 だが、碧が答える前に紅が口を開く。

「平気。我慢する」

 短く告げる紅へ向かい、碧が感極まったような声をあげた。

「あー、紅。君はなんて健気で良い子なんだー」

「兄さんわき見運転ダメ。前見て」

 抱きつこうとする碧を紅が冷静に押し返す。

2人の様子を眺めながら、涼介は事態を理解できずに眉を顰めた。










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