Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
三
@
「走っていくのかい?
中央区までいくのはきついと思うんだけど」
「仕方ないでしょう。それしか方法がないんだから。
ってあんた車乗れたりするの?」
車が走り去りるや、訊いてきた涼介にみのりは呆れた声を出す。
それでも走らないで済む方法があるのかと尋ねてみれば、
涼介からなんの解決にもならない答えが返ってきた。
「一応乗れるけど、車は持ってないよ。残念ながら」
「じゃぁ、やっぱり走って行くしかないじゃない」
追っ手がきているというのに余計なことを言い出さないで
もらいたい。
みのりはため息混じり言葉を返した。
それと同時に、トニーズまでの道順がわからないことに気づいた。
「それで、ここからトニーズってどのくらいかかるの?」
「走って行ったら裕に1時間はかかるよ」
「えっ! そ、そんなにかかるの?」
そんなに遠くだとは思っていなかった。
裏の山を駆け回っていた小さい頃ならいざ知らず、
今は専ら車移動の多い自分が30分以上走り続けられる自信はない。
みのりはあまりの距離に愕然としながらも、
血の気の引いた顔を涼介のほうへ向けた。
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