Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




B




「知ってるわよ。タクシーでしょう。

一般の人用の専用車でしょう?」

「それはそういうのじゃなくて、……まあ、いいや。

とにかく呼ぶよ」

「? よくわからないけど、お願いするわ」


 何か間違っていたのだろうか。

だがいつだったか駅で見かけたタクシーのことを碧に訊いたとき、

自分たちのような金持ちは専属の運転手を常駐させておけるが

一般人にはそれが無理だと。

だから必要なときだけ連絡して雇うのだと言っていた。

碧が嘘を教えるとは思えない。

みのりはこちらを見ることもなく携帯のアプリを操作する涼介に

首をひねった。


「これでよしっと。ちょっと裏道に入るよ」


 しばらくして涼介が言いながらガソリンスタンド傍の横道に入る。


「ええ、わかったわ」


 みのりはひとまずタクシー云々についての疑問を頭の隅へ追いやり、

涼介のあとをついていく。

 2人が藤端城跡の手前に到着するや、

向かい側から白いタクシーがやってくるのが見えた。










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