Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
三
B
「知ってるわよ。タクシーでしょう。
一般の人用の専用車でしょう?」
「それはそういうのじゃなくて、……まあ、いいや。
とにかく呼ぶよ」
「? よくわからないけど、お願いするわ」
何か間違っていたのだろうか。
だがいつだったか駅で見かけたタクシーのことを碧に訊いたとき、
自分たちのような金持ちは専属の運転手を常駐させておけるが
一般人にはそれが無理だと。
だから必要なときだけ連絡して雇うのだと言っていた。
碧が嘘を教えるとは思えない。
みのりはこちらを見ることもなく携帯のアプリを操作する涼介に
首をひねった。
「これでよしっと。ちょっと裏道に入るよ」
しばらくして涼介が言いながらガソリンスタンド傍の横道に入る。
「ええ、わかったわ」
みのりはひとまずタクシー云々についての疑問を頭の隅へ追いやり、
涼介のあとをついていく。
2人が藤端城跡の手前に到着するや、
向かい側から白いタクシーがやってくるのが見えた。
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