Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




C




 涼介はドアの開いたタクシーの後部座席へみのりを促し、

助手席へ乗りこみながら運転手へ声をかける。

「中央区のトニーズまでお願いします」

 行先を告げると運転手が了承してきた。

「はい。かしこまりました」

 軽く頷き後方を確認している運転手をよそに、

タクシーの内装をみのりが見まわす。

「へー、これがタクシーかー。なんか変わってるわね」

 よほど物珍しいのかきょろきょろとせわしないことこの上ない。

どう考えても怪しすぎるみのりの行動に、

涼介はフォローの必要性を感じた。

軽く眉を寄せている運転手へ話を振ってみる。

「すみませんね。この子地方から来てて慣れてれてないんですよ」

 こちらの言葉に運転手がそうですか、と応じてくる。

やたら首を上下させているところを見ると、

やはり怪しまれていたようだ。

ほっと胸をなでおろしていると、

みのりが後部座席と前部座席の間にある透明なプレートを指さした。

「ねえ、この透明な間仕切りみたいなものはなんなの?」

 みのりの質問に運転手が答える。

「それは防犯ですよ、お客さん。

ちなみに前にはドライブレコーダーもありますよ」

 ご機嫌なようすで説明してくる運転手にみのりが首をかしげる。

「防犯? あー、突然悪い人が来たときのためね。

でもそれだと雇い主を守れないんじゃ?」

「雇い主? 雇い主なら事務所にいますが?」

 みのりの言葉に運転手が眉間の皺を深くして、涼介は慌てた。










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