Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
三
F
「今日の風って、ゴミが空を飛ぶほど強かったかしら?」
「いいえ。風はそんなに強くないですよ。
ただ雨が降るかもしれないとは言ってましたが」
しかし涼介へ問い質そう紡いだ言葉の返答は、
彼からではなく前から聞こえてきた。
みのりは割り込んできた運転手からの情報に目を見開く。
「雨! それは困るわ。傘なんて持ってないのに」
雨が降っている中出かけるならばまだしも、
普段予備のために傘を持ち歩く習慣をみのりは持っていない。
なぜなら突然雨に降られたとしても
碧さえいれば自分が濡れることはなかったからだ。
(まさか碧たちと別々に行動するようなことが起きるとは
思ってもなかったし……)
本家から追っ手がくるとはわかっていたが、
車で撒けばいいと安易に考えていた自分の浅慮にみのりは唇を噛む。
(これからは1人でも大丈夫なようにしないとダメってこと……
なのよね?)
1人には慣れている。
だけどその後ろにはいつだって碧と紅がいてくれた。
だから寂しさなど感じたことはない。
だがこれからは彼らがいなくても1人で進まなくてはいけないのだ。
果たして自分にそれができるのだろうか。
みのりは背後から迫りくるような孤独感に、肩を震わせた。
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