Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
三
H
「私は家出なんてしてないので結構です」
「遠慮しなくてもいいのに。無理はよくないよ?」
腹立たしさに顔がこわばる。
それでも無理やり笑みを作れば、
彼も口元だけ笑っている顔を向けてきた。
「お客さん、それは無理ですよ。
私らは黄梅市から出る許可書が下りてませんから」
にらみ合っていた2人の空気を壊したのは、
やはり運転手の声だった。
「そうか。それは残念だなあ」
まったく残念そうには見えない言い方に苛立ちが募る。
そもそも涼介との見合いが嫌で逃げてきたのだ。
その張本人である男に会わないように逃げてきたにも関わらず
こうして会ってしまい。
その上ことあるごとに文句を言われ、いい加減我慢の限界だ。
みのりは涼介の顔に指を突きつけた。
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