Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




H




「私は家出なんてしてないので結構です」

「遠慮しなくてもいいのに。無理はよくないよ?」


 腹立たしさに顔がこわばる。

それでも無理やり笑みを作れば、

彼も口元だけ笑っている顔を向けてきた。


「お客さん、それは無理ですよ。

私らは黄梅市から出る許可書が下りてませんから」


 にらみ合っていた2人の空気を壊したのは、

やはり運転手の声だった。


「そうか。それは残念だなあ」


 まったく残念そうには見えない言い方に苛立ちが募る。

そもそも涼介との見合いが嫌で逃げてきたのだ。

その張本人である男に会わないように逃げてきたにも関わらず

こうして会ってしまい。

その上ことあるごとに文句を言われ、いい加減我慢の限界だ。

みのりは涼介の顔に指を突きつけた。










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