Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
一
C
(市長の力を使わなくたってこんな男、
私が一言ガツンと言ってやれば尻尾を巻いて逃げ出すに決まってるわ)
見下ろしてくる青年の目を睨みつけながら、
みのりは己を奮い立たせた。
「年下だからって何よ!
碧は私の側近なんだから関係ないでしょう」
しかしこちらの思惑に反し、涼介は反論してくる。
「側近だからって礼儀はわきまえるべきだろう!」
「礼儀? どの口がそんなこと言ってるのかしら?」
「どのってこの口だけど?」
もう我慢の限界だ。
みのりは、何を言っても嫌味で返してくる青年の言葉に
堪忍袋の緒が切れた。
「あんたさっきから、碧さん、碧さんって
うちの側近になれなれしいのよ!」
「碧さんは俺の恩人なんだから親しくして当たり前じゃないか」
「恩人、大事」
突然の紅の呟きに、みのりは瞳を大きく見開いた。
「べ、紅まであいつの味方するの……」
彼女から涼介を擁護する言葉が出てくるとは思ってもみなかった。
みのりはあまりのショックに涙がこぼれだしそうになる。
今のは聞き間違えかもしれない。
滲む涙を瞬きでごましかしながら紅へ顔を向ける。
そんなこちらに反し、
味方を得たとばかりに涼介がしゃしゃり出てきた。
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