Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
三
IB
「ちょっと何するつもり?」
みのりはタクシーを止めようとする涼介に慌てる。
だが彼はこちらの戸惑いを気にするふうでもなく
平然と返してきた。
「何って、トニーズへ向かうんだけど?」
「でも道を変えて……ううん、
そんなことより追手から逃げないと」
せっかく今まで順調にきているのだ。
ここで捕まってはたまらない。
彼らに連れ戻されてしまったら最後。
すぐにでも涼介との見合いが執り行われてしまうだろう。
(ううん。お見合いなんて生やさしいものじゃなくて
結婚させられちゃうかも……)
みのりは自身の考えに血の気が引いた。
家族のことよりも当主としての仕事を最優先に考えている
母親ならやりかねない。
しかも家出した責任をすべて囮になってくれた碧たちへ被せ、
彼らと引き離そうとするだろう。
自分のために危険を顧みず協力してくれた側近たちのためにも
絶対に捕まるわけにはいかない。
涼介はそこのところをきちんと理解していないようだ。
(訓練だって言ってしまった手前、
あんまり強く言えないのが悔しいところよね)
それでももう少し真剣に取り組んでくれてもいいはずなのに。
みのりは寝癖なのか一部だけ跳ねている涼介の後頭部を
恨みがましく見つめた。
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