Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




ID




「お気をつけて」

 運転手の言葉に涼介は愛想笑いを浮かべる。

「ありがとうございます。ここまでくれば目と鼻の先ですから」

「ありがとうございます。運転手さん」

 みのりが告げると頷いた運転手は車のドアを閉め、

早々に走り去っていった。

「一般人用の専用車って日払い制なのかしら?」

 またしてもとんちんかんな独り言を呟くみのりを横に、

涼介は肩をすくめる。

「さあ? 会社によるんじゃないかな。

それより、いくよ。ほら、すぐそこだからさ」

 踵を返しトニーズと書かれた看板へ歩きだすと、

後ろ手にみのりの声がきこえてくる。

「そうか。そうよね。

でも月額のほうが面倒がないような気がするわ……

って、ちょっと待ちなさいよ」

 ぶつぶつと思案していたらしいみのりが、慌てて追いかけてきた。










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