Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
四
B
「ご注文がお決まりになりましたら、
ボタンを押してお呼びください」
「ありがとうございます」
「どうも」
店員に笑みを浮かべるこちらとは反対に涼介は、
素っ気ない態度でメニューを広げる。
だがそれが当たり前のことなのか、
店員も気にした様子もなくその場を去って行った。
「みのりさんは何にする? ここはドリンクバーはないから……」
涼介がこちら側に見やすいようにメニューをめくりながら
訊いてくる。みのりはそれに得意気な顔で応えた。
「そんなの決まってるじゃない。もちろんアイスクリームよ」
そもそもの目的がアイスを食べにきたのに
何を言っているのだろう。
しかし涼介は首を傾げるこちらへメニューをさらに近づけた。
「どんなアイスクリームにするのさ。
それから、アイスクリームだけでいいのかい?
ほら、メニューみて」
「キャー何、これ美味しそう。あ、こっちもおいしそう。
これも、あれも……あー、迷っちゃう」
みのりはメニューにいくつも載っているデザートに釘づけになる。
アイスだけでも数種の味やバリエーションがあり、
どれも美味しそうだった。
「……好きなの頼んでいいよ」
「あー、今子供っぽいって思ったでしょう?
普段の私はこんなんじゃないんですからね。
今日は久々にここへこれたから嬉しくって……」
自分でもはしゃぎすぎたという自覚はある。
みのりは苦笑する涼介に口をすぼめながら言い訳を口にした。
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