Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




B




「ご注文がお決まりになりましたら、

ボタンを押してお呼びください」

「ありがとうございます」

「どうも」


 店員に笑みを浮かべるこちらとは反対に涼介は、

素っ気ない態度でメニューを広げる。

だがそれが当たり前のことなのか、

店員も気にした様子もなくその場を去って行った。


「みのりさんは何にする? ここはドリンクバーはないから……」


 涼介がこちら側に見やすいようにメニューをめくりながら

訊いてくる。みのりはそれに得意気な顔で応えた。


「そんなの決まってるじゃない。もちろんアイスクリームよ」


 そもそもの目的がアイスを食べにきたのに

何を言っているのだろう。

しかし涼介は首を傾げるこちらへメニューをさらに近づけた。


「どんなアイスクリームにするのさ。

それから、アイスクリームだけでいいのかい?

ほら、メニューみて」

「キャー何、これ美味しそう。あ、こっちもおいしそう。

これも、あれも……あー、迷っちゃう」


 みのりはメニューにいくつも載っているデザートに釘づけになる。

アイスだけでも数種の味やバリエーションがあり、

どれも美味しそうだった。


「……好きなの頼んでいいよ」

「あー、今子供っぽいって思ったでしょう?

普段の私はこんなんじゃないんですからね。

今日は久々にここへこれたから嬉しくって……」


 自分でもはしゃぎすぎたという自覚はある。

みのりは苦笑する涼介に口をすぼめながら言い訳を口にした。










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