Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
一
D
「紅さんっていうの? 君いい子だね」
「涼介君、君はお兄さんと違ってみる目がありますね」
「ありがとうございます!」
みのりは、勝手に盛り上がる男2人をそのままに
固唾を飲んで紅の言葉を待つ。
紅は男たちとこちらへ交互に目線を向けたあと、
少し考え込みながら首をかしげた。
「お嬢さま、恩人。だから大事」
「紅ー!!」
どんなときでも自分を大事に思ってくれる紅のブレない気持ちが
再度確認でき、みのりは彼女に抱きついた。
「お、お嬢様!
僕の紅になんてうらやま……じゃなくて放れてください」
碧が必死の形相で引き剥がそうとする。
みのりは剥がされまいと紅にしがみつくように彼女を抱きしめた。
(私の味方をしなかった報いを受けるがいいわ)
これにこりたら次は紅のようにどんなときでもこちらの擁護をしなさい。
言外に匂わせながら碧へ見せつけるように紅の頭をなでる。
苦虫を噛みつぶしたような碧の顔に、みのりは口角を緩ませた。
「君たち、私のことは無視かい……」
ふいに小さな、けれども耳通りのよい声が室内に響き渡る。
すっかり忘れていた雅秋の存在を思い出し、みのりは我に返った。
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