Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




E




「ほうじ茶をお願いします」

 誰もが見惚れるような柔らかい笑みを浮かべるみのりに対し、

店員が淡々と問いかける。

「ご注文は以上でよろしいですか?」

「はい。それでよろしく」

 軽く首肯すると、

店員が注文票のディスプレイを見ながら声をだした。

「かしこまりました。ご注文を繰り返します。

バニラアイスと抹茶アイス付あんみつがお一つずつと、

コーヒーとほうじ茶がお一つずつ。以上でよろしいですか?」

 店員の問いに対し涼介は肯定する。

「はい、どうも」

 軽く頷くと、店員はさらに細々としたことを尋ねてきた。

「お飲み物はデザートの先とあと、どちらがよろしいでしょうか?」

「あ、先でお願いします」

 やれやれ、そんなことまで尋ねてくるのか。

(結構面倒くさいなあ)

 小さく息をついていると、

今一度店員がこちらへ笑顔を向けてくる。

「かしこまりました」

 丁寧に一礼して去っていく店員を眺めながら涼介は、

なんでもない人間に礼を尽くすのは大変だろうな、とひとりごちた。










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