Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




I




「そうなの? なんだ良かった」

 みのりがホッとしたような表情でボスンと椅子に座る。

「素直なのはかわいいんだけど、いいんだか悪いんだか……」

「え? 何か言った?」

 気づかれぬよう口の中で呟くと、みのりが形のよい眉を軽く顰めた。

「いやいや、何も」

 首を横に振ってその場を濁そうと試みる。

だが、みのりにこの手の誤魔化しはきかなかったようだった。

「にやにやして変な人ね」

 頬を膨らませるみのりの言葉に、涼介は眦(まなじり)を上げる。

「に! にやにやなんかしてないだろ」

 立ちあがりそうになるのをなんとかこらえてみのりを睨むと、

みのりが顔を近づけてきた。

「してたわよ。目じりをこーんな感じに下げて」

 みのりが人差し指で両目尻を下げてみせてくる。

涼介はみのりの顔をしばし眺め、盛大な溜め息をついた。

「つくづく失礼なこと言う子だなあ、君は」

 せっかくの美人が台無しじゃないか、と内心で付け加えていると、

みのりが腕を組む。

「そっちが先に笑うからいけないんでしょう?

だいたい最初に会ったときだってそうよ」

 涼介はみのりの言葉に片眉をあげた。










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