Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




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「河原でのことかい?」

 尋ねると、みのりが口をへの字に曲げて食ってかかってきた。

「そうよ!

人が気にしてたことを鼻で笑いながらいやみったらしく言ってきて」

「俺は何も言った覚えはないけど?」

 言われたのはむしろこちらのほうだ。

涼介はむっとしてコーヒーカップを持ちあげる。

話を打ち切るつもりで一くち口に含むのをよそに、

みのりの話は続いた。

「あんたにとったら忘れちゃうくらい取るに足らないことなんでしょうけど、

その言葉で傷ついた私は覚えているんです。嘘じゃないわよ」

 早口でまくしたててくるみのりを見据え、

涼介は静かにカップを置く。

「それを言うならいきなりひどいことを言って逃げてった

君のほうがひどいだろう?

君が覚えてないかもしれないけど俺だって傷ついたんぜ?」

 お返しとばかりに文句を言うと、みのりが眉根を寄せた。

「え? なんのことよ?

確かに私はあんたの言葉に傷ついて走って逃げたけど

何も言った覚えはないわよ?」

「その時にとんでもない呪いをかけて行ったんだよ、君は!」

 首をかしげるみのりに対し、冷静に、と言い聞かせていた何かが

ふつりと切れた。










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