Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
四
IG
「美味でマロー」
「ええ?!」
現れたのは水色の髪をした白くて小さな人形だった。
(な、なんで人形がしゃべるんだ?)
音声内蔵の人形なのだろうか。手を伸ばしかけると、
人形がくるりとこちらを向いた。
「そなたか? わらわにこの美味なるものをかけたのは?」
睨み据えてくる人形を前に驚きつつ、涼介は頷く。
「あ、ああ。そうだけど……」
答えながら人形を観察する。
水色の長い髪に青い瞳。
真っ白な着物からはさらに白い手が伸びている。
ふくふくとした大福のような顔かたちでなければ、
そのまま雪姫のような出で立ちだ。
どうしたものかと戸惑っていると、みのりが袖を引っ張ってきた。
「え、ちょっと何事?」
「俺にも何がなんだか……」
正直に答えるその前で、人形が口を開く。
「わらわは、先ほどの美味なるものを所望するマロー」
手を差しだしてくる人形へ、
手に持っていたアイスクリームを掲げてみせた。
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